昭和の価値観を捨てる。新しい会社との付き合い方

働き方

会社というのは、ベーシックインカムのようなもので、毎月決まった生活費を振り込んでくれる便利な機関だと割り切るべきである。会社のために身を粉にして自己犠牲をするなんていうのはナンセンスだ。

会社では目をつけられない程度にサボり、評価が下がらないように保身に走り、自分で稼ぐための技術と知識を獲得する場だと考え、日々、うまく立ち回ることが大切なのである。

そして、会社とは別に、自分で稼ぐための手段を吟味し、副業として実行、検証し、早めに組織から離れる算段をつけるべきだ。という僕も残念ながら、こんな単純で大切なことに気づいたのは、五〇歳手前の今である。

我々昭和の人間は、どうも他人を信じすぎるところがあり、「今は大変だけど耐えた先には幸せにする・・・」などと支配者の甘い言葉に騙され、相手にとって都合の良い選択をしてしまうところが多々ある。

社会に出て約三〇年間、一度も優遇されることなく、何故かという謎の価値観を信じ、景気が良くなれば報われるはずだという淡い期待を胸に、何度も苦汁を舐めさせられ続けてきた。

まるでというか、なんというか、権力者からすると都合の良い人間として生きてきてしまった。

だが、ここで、これまでの会社に奉仕した分を精算し、会社と決別をする準備を始めた方が幸せになれると感じる。というのも、残念ながら、僕らが信じていた会社や国・・・権力は、自らの存続のために我々下々の人間を守ることはない、守るわけがない、あり得ないのである。

考えてみて欲しい。三〇年近くほとんど給料を上げず、社員のことより、自己のため、会社を最優先に考えきた経営者が、この先、社員を優遇することがあるだろうか。答えは否。

いくら文句を言おうが、泣くのは我々従業員なのだ。頭の良いあなたは薄々、気づいているはずである。こんなことに僕が気づけなかったのは、我々が受けた昭和の教育の結果である。

我々が義務教育を受けていたのは、高度経済成長期の真っ只中で、物を作れば売れた時代。当時は、右肩上がりで経済成長が続き、サラリーマンとして企業に就職すれば、勤続年数に比例し給料は上がり、終身雇用を約束され、定年退職時には退職金が貰える時代であった。

つまり、当時はサラリーマンとして働くことは、人生の勝ち組。確かに、楽しいか、つまらないかは別として、サラリーマンとして会社の駒として働くことは、責任を果たす義務もなく、貴重な労働力と大切にされ、生涯面倒を見てくれた当時であれば、サラリーマンほど将来を保証された職業はなかったのである。だから、多くの大人は、我が子を企業が求める「文句を言わず、働く」にする教育こそ正義だと疑わなかったのである。

いうなれば、封建的な上下関係も、周りと同じであることが正義という没個性化教育も、全てはの天国に行くために必要なことだったのだ。

我々が幼少期に叩き込まれた「働くことで幸せになれる」という古き良き時代の神話は、目の前でもろくも崩れ去った。にも関わらず、我々が文句も言わず薄給で、会社のために自己犠牲しているのは、昭和教育の賜物たまものである。

貧しくはあったが、未来に夢を見ていた大人たちに刷り込まれた価値観の影響力は絶大なのだ。当時の大人は、私利私欲に走るリーダーたちが躍動やくどうし、下々の人間をしいたげることが平然とまかり通る世の中になるとは予想すらできなかったんだと思う。当時の大人たちに非はない。

そして、現代である。会社というのは、封建社会の悪しき文化と民主主義の負の側面を濃縮し、利益を出すためには、従業員が自己犠牲することが必須の地獄と化したのである。物を作っても売れず、効率や生産性を高めることを強要し、設備投資もせず、従業員の犠牲が前提で利益を確保しているのが現実だ。そんな無理をして上げている利益だから、従業員に還元されることはない。つまり、このままサラリーマンを続けていても、お先真っ暗な未来しか待っていないのだ。

折しも現代は、IT技術の発展、リモートワークなどの働き方の変化により、個人で稼ぐことは以前に比べハードルが低くなっている。もちろん、職種にもよるが内容を選べば、うまく立ち回ることが可能である。

もし現在、サラリーマンとして馬車馬のように働き、将来性を感じないのであれば、個人で稼ぐ手段を生活費がベーシックインカムのように毎月手に入れられる準備の時なのだ。少なくとも僕はそう思う。

あなたの勤める会社に将来性を感じ、働き甲斐があるのであれば、会社にしがみつき、永住の地として定年まで働くことを強くお勧めする。ただ、会社に勤めることに不安を抱き、会社への不信感を持っているのであれば、会社はベーシックインカムと考え、給料を下げられない程度の労力で過ごし、陰で自ら稼ぐ手段を吟味し、実行し、改善し、給料とは別の稼ぎ方を見つけ、を目指すべきである。

(了)

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